「本所おけら長屋」シリーズで知られる人気作家・畠山健二が原案を手がけ、絵本作家・ふくだのぞみが描き下ろした絵本『いよっ!えどっこだねぇ』が、2024年7月8日に発売された。
物語は、てぬぐいをハチマキにした少年が江戸っ子になりきって町を駆け回る姿から始まる。道行く人に手を差し伸べたり、いじめっ子に立ち向かったり、泣いている子どもを慰めたりと、少年は人情味あふれる行動で周囲を魅了する。しかし、雨に降られてしまった少年は……。
本書は、江戸っ子の粋な生き様と人情味あふれる物語を通して、子どもたちに大切な価値観を伝えることを目指している。畠山健二氏は、「日本人は多くのものを心から失ってきました。そのひとつが“恥”です。」と語り、本書を通じて子どもたちに「自分の心に対する戒め」を伝えたいと語る。
また、本書には畠山健二氏による解説と、イメージソング「えどっこでぃ!」の楽譜も収録されている。
本書の発売を記念して、各地でトークイベントが開催される。8月1日には紀伊國屋書店新宿本店、8月30日にはジュンク堂書店池袋本店など、人気書店でのイベントが予定されている。イベントでは、畠山健二氏とふくだのぞみ氏が登壇し、絵本制作の裏側や江戸っ子文化について語る予定だ。
『いよっ!えどっこだねぇ』は、子どもから大人まで楽しめる心温まる絵本。江戸っ子の生き様を通して、大切な価値観を見つめ直すきっかけを与えてくれるだろう。
『いよっ!えどっこだねぇ』を読んだ後、私は江戸っ子の心意気と人情味に改めて感心した。現代社会では、自分のことだけを考える人が増えているように感じるが、本書の主人公のように、困っている人を助ける優しさや、義理人情を大切にする気持ちは、どんな時代でも大切なものであると感じた。
畠山健二氏の言葉にも深く共感した。「恥」という概念は、現代社会では軽視されがちだが、自分の行動を振り返り、反省する大切な心の支えである。本書は、子どもたちにとって、単なる絵本ではなく、心の成長を促す一冊になるのではないだろうか。
また、ふくだのぞみ氏の絵は、温かく優しいタッチで描かれており、江戸時代の風景や人々の暮らしを生き生きと表現している。特に、少年が雨に降られてしまうシーンは、哀愁漂う風景と少年の表情が印象的で、私の心に残った。
本書は、親子で一緒に読めるだけでなく、大人だけでも楽しめる内容となっている。江戸っ子の文化や歴史に興味がある人、人情味あふれる物語を読みたい人、大切な価値観を見つめ直したい人におすすめしたい。