265年の歴史を持つ英国王室御用達ブランド「ウェッジウッド」は、石川県輪島市の伝統工芸「輪島塗」とのコラボレーション企画「WEST MEETS EAST」を発表した。この企画は、2024年に発生した能登半島地震の被災地支援を目的としており、ウェッジウッドならではのCSV(Creating Shared Value)の取り組みとして実現した。
アートディレクションは、プロダクトデザイナーの鈴木啓太氏が担当。鈴木氏は、金沢美術工芸大学製品デザイン学科客員教授を務めるなど、石川県との深い関わりを持つ。復興支援活動にも熱心に取り組んでおり、今回のコラボレーションを通して、輪島塗の復興支援をしたいという思いを込めた。
コラボレーションでは、「ウェッジウッド」の代表的な3つのシリーズ、「フェニックス」「ヘリア」「フォーチュン」が、「輪島塗」の伝統的な技法と美しさを持つ作品と組み合わされる。それぞれのシリーズには、被災された地域へのメッセージが込められている。
「フェニックス」は、不死鳥がモチーフで、何度でも蘇ることを意味することから、一日も早い復興への願いが込められている。「ヘリア」は太陽が語源で、夜明けを示唆し、「明けない夜はない」と寄り添うメッセージが込められている。「フォーチュン」は、九谷焼に着想を得たシリーズで、和柄を想わせるデザインが、遠くない未来に光が届くようお祈りしている。
「輪島塗」の作品は、鈴木啓太氏が現地の方々と相談の上、厳選されたものばかり。人間国宝の職人の方が手掛けた作品を含む、まさに輪島塗の真骨頂と言える作品が揃っている。
ウェッジウッドのブランド統括本部長のSjoerd Leeflang(ショード・リーフラング)は、「ウェッジウッドは日本との出会いを大切にしており、今年初めに発生した能登半島地震で被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに、支援したいと願っています。私達は、創業者であるジョサイア・ウェッジウッドの精神を継承し、環境を大切にし、同時に、人々を大切にしたいと考えています。」とコメントしている。
今回のコラボレーションは、単なる商品販売ではなく、輪島塗の復興支援という重要な役割を担っている。ウェッジウッドと輪島塗の融合によって生まれた新たな美しさは、多くの人々に感動を与え、輪島塗の魅力を再発見するきっかけとなるだろう。
ウェッジウッドと輪島塗のコラボレーションは、単なるブランド同士の組み合わせではなく、伝統と復興、そして美しさを融合させた素晴らしい試みだと感じた。西洋の洗練された美しさを持つウェッジウッドと、東洋の伝統的な技法と美しさを誇る輪島塗の組み合わせは、予想外の調和を生み出し、互いの魅力を引き立て合っている。
特に印象的だったのは、それぞれのシリーズに込められたメッセージだ。「フェニックス」の復興への願い、「ヘリア」の希望、「フォーチュン」の未来への光。これらのメッセージは、被災された地域への深い共感と、明るい未来への期待を感じさせる。
今回のコラボレーションを通して、輪島塗の職人の方々の技術の素晴らしさ、そして伝統工芸の大切さを改めて認識した。輪島塗は、単なる食器や装飾品ではなく、長い年月をかけて受け継がれてきた文化であり、歴史そのものだと言えるだろう。
このコラボレーションが、輪島塗の復興支援に繋がるだけでなく、多くの人々に伝統工芸の魅力を伝え、日本の文化を継承していくためのきっかけとなることを願っている。