2024年09月09日更新
HSC 沢木ラクダ 小学館

繊細な息子が小学校へ 『せんさいなぼくは小学生になれないの?』

HSC(ひといちばい敏感な子ども)の息子を持つ著者が、小学校入学後の不登校に至るまでの道のりを克明に綴った日記ドキュメント。子どもの心の揺れ動き、親の葛藤、学校教育の現状、専門家のアドバイスなどを、赤裸々に描写。

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繊細な息子が小学校へ 『せんさいなぼくは小学生になれないの?』

『せんさいなぼくは小学生になれないの?』は、HSC(ひといちばい敏感な子ども)の息子を持つ著者が、小学校入学後、息子が不登校になるまでの道のりを克明に綴った日記ドキュメントです。

著者は、息子が学校に馴染めず、登校拒否を始める様子を目の当たりにし、自らも学校に付き添う日々を送ります。本書では、息子の心の揺れ動き、著者が抱える葛藤、学校教育の現状、専門家のアドバイスなど、様々な角度から不登校問題に迫ります。

著者は、息子の不登校の原因を探る中で、HSCという概念に出会います。HSCは、周囲の刺激に敏感で、深く傷つきやすく、完璧主義的な傾向を持つ子どものことです。著者は、HSCの特徴を持つ息子が、学校という環境に適応できない苦悩を、自身の経験を通して赤裸々に描写しています。

本書には、息子と学校の関係だけでなく、学校と家庭、そして夫婦の関係がどのように変化していくのか、その過程が丁寧に描かれています。著者は、息子への愛情と、学校という制度への疑問、そして教育に対する自身の考えを、率直に表現することで、読者に深い共感と理解を与えます。

また、本書では、学校に通うことが難しい子どもの親が、どのように情報収集し、支援制度を活用していくのか、具体的な事例が紹介されています。さらに、専門家からのアドバイスや、不登校に関する最新の情報なども掲載されており、不登校に悩む親にとって貴重な情報源となるでしょう。

『せんさいなぼくは小学生になれないの?』は、単なる不登校の体験記ではなく、HSCの子を持つ親、そして教育に関わるすべての人にとって、深く考えさせられる一冊です。
『せんさいなぼくは小学生になれないの?』を読んだ後、私は、HSCの子を持つ親の苦労と、学校という制度の限界について改めて考えさせられました。著者は、息子の心の声に耳を傾け、彼のペースに合わせて寄り添うことの大切さを教えてくれます。しかし、同時に、学校という画一的なシステムが、HSCの子にとってどれほど過酷な環境となり得るのか、その現実も突きつけられます。

本書は、決して楽観的な話ではありません。むしろ、親として、教師として、そして社会の一員として、私たちは、HSCの子どもたちとどのように向き合っていくべきか、その課題を突きつけるものです。

著者は、息子が不登校になったことを悲観するのではなく、むしろ、息子の才能や個性を見出し、彼にとってより良い環境を探し続けることを選びます。その柔軟な考え方と、子どもに対する深い愛情は、読者に大きな希望を与えてくれます。

本書は、単なる不登校問題の解決策を示すものではありません。むしろ、HSCの子どもたち、そして私たち自身の心の奥底にある、複雑な感情や課題に向き合うための、一つのヒントを与えてくれるでしょう。

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まとめ作者