占星術研究家・翻訳家の鏡リュウジ氏が監修を務める一大プロジェクト『タロットの美術史〈全12巻〉』が、ついに完結を迎えた。株式会社創元社より、2024年7月24日に第4期の『月・太陽』『審判・世界』『小アルカナ』が刊行され、シリーズ全巻が揃った。
15世紀のイタリアで誕生したタロットは、占いの世界にとどまらず、ゲームや漫画など、現代でも広く親しまれている。本シリーズは、各巻で2枚の大アルカナを取り上げ、その歴史と象徴性を深く解説する。単なる占いの道具としてではなく、西洋絵画史におけるモチーフや象徴性とのかかわりを探求することで、タロットの世界をより深く理解することができる。
各巻には、約40枚のタロットカードが収録されているほか、夢然堂、千田歌秋、石井ゆかり、蒼井翔太、伊藤博明など、各分野の専門家や著名人による巻末特別寄稿も掲載されている。豪華ゲスト陣による独自の視点からの考察は、タロットの世界をさらに広げ、新たな発見を与えてくれるだろう。
本シリーズは、タロットに興味がある人だけでなく、美術史や文化史に関心がある人にもおすすめだ。歴史と芸術、そして象徴性を融合させた、読み応えのあるシリーズとなっている。創元社ホームページでは、全12巻セットの購入も可能。特製セットケース「アルカナの函」に入れて、特別なコレクションとして楽しむことができる。
「タロットの美術史」シリーズは、単にタロットカードの解説にとどまらず、歴史、芸術、文化、そして象徴性を織り交ぜた壮大な作品だと思った。鏡リュウジ氏の深い知識と洞察力によって、タロットの世界が新たな次元で開かれた。各巻のテーマに合わせた豪華執筆陣も魅力的で、それぞれの専門分野からの視点が、タロットに対する理解を深めてくれる。特に、巻末の特別寄稿は、読み物としても非常に興味深く、それぞれのゲストの個性とタロットとの接点が垣間見えた。
このシリーズを通じて、タロットは単なる占いの道具ではなく、人類の歴史と文化を反映した奥深い世界であることを改めて認識させられた。また、各カードが持つ象徴性や芸術性の素晴らしさに改めて気づかされた。全12巻揃えて、じっくりと読み込み、タロットの世界を深く探求したいと感じた。