19世紀末の西洋で流行した美しい小型印刷物「クロモス」。その魅力と歴史を網羅したビジュアルブック『クロモスの世界』が、2024年7月に発売されます。
多色刷り石版印刷術の発明によって生まれたクロモスは、花や子ども、天使、動物など、多種多様なモチーフを精巧に印刷したものでした。人々はクロモスで手紙やグリーティングカード、お菓子、アルバムなどを飾り、友人や家族、恋人への思いを表現しました。クロモスは、当時の社交や趣味に欠かせないアイテムであり、世紀末ヨーロッパの文化を彩る重要な役割を担っていました。
しかし、20世紀に入ると、クロモスは時代遅れなものとして忘れられていきました。本書は、そんな忘れられたクロモスの貴重なコレクション約800点を紹介するビジュアルブックです。
本書では、クロモスの歴史、製作過程、モチーフ、そして当時の文化や社会背景について詳しく解説しています。また、クロモスを制作した芸術家や印刷技師についても紹介し、クロモスの世界を多角的に探求しています。
さらに、クロモスを使った当時の生活様式や、クロモスが人々に与えた影響についても考察しています。クロモスは単なる印刷物ではなく、当時の社会や文化を反映した重要な文化遺産であることがわかります。
本書は、クロモスに興味がある人だけでなく、19世紀末のヨーロッパ文化に興味がある人、美しい印刷物に興味がある人、アートに興味がある人、すべての人におすすめの一冊です。
本書の著者である谷口江里也氏は、詩人、ヴィジョンアーキテクト、そしてシンガーソングライターという多彩な顔を持つ人物です。谷口氏は、長年クロモスを収集しており、その知識と経験を活かして本書を執筆しました。本書には、谷口氏の豊富な知識と情熱が詰まっています。
『クロモスの世界』は、19世紀末のヨーロッパの文化や社会を、クロモスという独特な視点から見ることができる貴重な一冊です。クロモスの美しさだけでなく、当時の生活様式や人々の価値観を知ることで、現代社会との比較や考察もできます。
また、本書は、印刷技術やデザインの歴史、そして芸術と文化の関係について考えるきっかけを与えてくれます。現代においても、クロモスのような美しい印刷物は、人々の心を豊かにし、心を繋ぐ役割を果たしています。
本書を読めば、忘れられたクロモスの魅力を再発見し、19世紀末のヨーロッパ文化への理解を深めることができるでしょう。また、現代社会においても、美しい印刷物の価値を見直し、その力を再認識する機会になるはずです。